ご覧いただきまして、ありがとうございます。
楽陽堂鍼灸院の院長山口です。
今回は生理痛について、東洋医学の所見と改善策をお伝えしていこうと思います。
最後読むと、生理痛で苦しむあなたの改善のヒントがみえてきますよ。
女性の苦しみランキング上位常連である生理痛。
実は生理痛って
「ほとんどないのが正常」
って知ってましたか?
今回はこの生理痛について書いていこうと思います。
痛みを改善するための基礎知識として、まずは毎月訪れる女性の生理的習慣である生理(以下、月経)が東洋医学ではどういうものなのか?を説明していきたいと思います。
東洋医学から見た月経(生理)
生理学(人間の体の動きについての学問)の生理と混ざるので、以下、女性の生理を月経と書いていきますね。
一定期間(正常なら28日前後)、子宮に月経血が徐々に溜まっていき、ある程度溜まった月経血が排出される女性の生理的現象を、月経と呼びます。
月経血を東洋医学的な言葉でいうと生理的血瘀(せいりてきけつお)と言います。
血瘀とは動かない血のことですが、生理的=生物として正しい動かない血なので、痛みは出しません。
月経血は子宮に留まっていくのが正しい状態ですが、これが水でも滞り続けると腐るように、血もずっとその場に滞ったままだと、病気の原因になります。
すると名称を変えて、血の病理産物=瘀血(おけつ)と呼ばれるモノになります。
こちらがあると、月経血に塊という形で排出されるので、自分に瘀血があるかどうかをすぐに調べられます。
月経は大体毎月一回起こるので『月』の名称が使われています。
人体は月の引力に強く影響されるので、28日周期がもっともよいとされますが、前後5日程度で定期的に来ていれば正常、とされています。
月経(生理)痛の原因は三つ
それでは月経痛の原因はなんでしょうか?
冒頭でお伝えしたとおり、正常な月経では痛みはほぼありません。
なにかしらの異常があるから痛むわけです。
東洋医学的な痛み自体のメカニズムについては別のブログに書いてあるので、そちらを読んでみてくださいね。
月経における痛みの原因は
1.貧血によるもの
2.血が多すぎるもの
3.血が停滞しているもの
大きく分けてこの三つが原因です。
それぞれ見ていきましょう。
1.貧血によるもの
貧血というとみなさんが思い出すのが、健康診断で指摘されるHb値(ヘモグロビン値)が低いことでしょう。
西洋医学同様、東洋医学的には血が薄いことも含まれますが、それとは別に、血が五臓六腑を正しく動かす力=疏泄(そせつ)が弱くなっていることと捉えます。
この後者二つの力のうちどちらか、もしくは両方が弱くなった状態のことを血虚(けっきょ)といい、肝の力が衰えていると捉えます。
肝は血を司っていますので、肝=血という概念から、東洋医学では『肝血虚(かんけっきょ)』とも呼ばれます。
この意味で言うなら、肝は筋肉や目も司っているので、運動のし過ぎや目の使い過ぎも肝血虚の原因となります。
感情の動きで言えば、怒りやイライラも肝の担当する気の動きですので、こういった感情が大きく動いたり続いたりすると、肝血虚になります。
逆説的に、肝血虚があることで、抑えられくなった肝の陽気が頭や肩に留まることから、月経前にイライラしやすい=PMS(月経前症候群)として現れる方も多くいます。
また、ストレスによって肝が弱ることも多々あるので、ストレスが多くかかった後の月経が、いつもよりひどいって体験をされた方は、意外と多いのではないでしょうか。
2.血が多すぎるもの
東洋医学でいう血が多すぎるとは、血液量が多いとかヘモグロビンが多いとか言うことではありません。
血に何らかの熱が加わった、もしくは子宮に血が規定量よりも多く集まった状態と思ってください。
「何らかの熱ってなに?」と思われるでしょう。
その熱は怒りやストレスだったり、アルコールやカフェインの過剰摂取などなど、原因は個人個人でそれぞれ様々です。
何にせよ偏った感情の動きや飲食によるもの、と思ってもらってよいでしょう。
もう一つとして器質的、つまり子宮自体が子宮筋腫などで物理的に許容量が小さくなっていたり、子宮が冷えや血虚の影響による柔軟性が足りないことによる、相対的な容量オーバーになっている場合などがあります。
肝血虚の場合も怒りやイライラで…と説明していますが、肝血虚の時にさらに大きな気の動き(怒りなど)や外的要因(ストレス、過食等)があると、実(多すぎる)症状になり、この状態が出現することがあります。
実の症状は痛みの度合いとして、血虚の方よりも格段に上がってしまう傾向にあります。
3.血が滞っているもの
体の中を動いている血が動きを失ってしまうと、『瘀血(おけつ)という』病気の素になります。
瘀血は血自体がもつ熱を発散できないことによって熱を発したり、周りの正常な気血の流れを阻害し、摩擦熱を発生させるイメージを持ってもらえるといいでしょう。
人間は動物の一種で全てのものが動いていて当然で、睡眠中でさえ寝がえりもしますし、呼吸や鼓動は止まりません。
動きや血流が滞ることは、人間にとっていいことはひとつもないのです。
あとで詳しく書きますが、瘀血があるかは自分で判定できますし、施術を受けたり、生活改善することで自分がどの程度回復しているか、の目安としてもわかりやすい指標です。
月経(生理)痛の原因『瘀血』って?
ではここで病気の素である瘀血を、月経痛に絞って説明していきたいと思います。
瘀血が発生する主な原因が以下の三つです。
1.冷え
冷えは水が氷に変化するのを想像してもらえればわかる通り、温かい血の動きを失わせます。
さらに言うなら、氷水に手を入れていると痛みを感じますよね。
また、氷になるときに水はその体積を増します。
すると、余計に周囲の気血水の流れを阻害するので、摩擦熱も多くなり、熱が強く=痛みが強くなります。
現代女性のファッショナブルな洋服は、うなじや足元、お腹の風通しが良すぎて冷えの原因になり、特にお腹を出した服装は子宮を直接冷やしていると考えていいでしょう。
ですから、外に行くときはおしゃれをして、帰宅したらスープなどを飲んだり、温かい格好に着替えて体を内外から温めるといいでしょう。
2.糖質
糖質、特に砂糖類と小麦粉食品を食べると、急激に体が温まる感じがします。
その反動として、生理的に体が冷えていくのですが、脳が興奮していてそれに気づかない場合がほとんどです。
(インスタ映えするような飲食物はタピオカやアイスなど糖分が多く、冷えているものが多いのは気のせいでしょうか?)
東洋医学でも糖質の過剰摂取は体が冷えるとなっていますので、洋の東西を問わず、糖質は結果的に体を冷やすものだとされています。
戦後しばらく経つまで、甘いお菓子はぜいたく品で、一般家庭では何かのお祝いの時くらいしか食べられるませんでした。
今はコンビニやスーパーなどでお手軽にお菓子が買える良い時代でもありますが、糖尿病や生理痛、がんなどの現代病は、その副産物と言えるかもしれません。
一つの基準としてGI値(ジーアイ値=その食材によって、血糖値がどのくらい上昇するかを示した値)65以下の食材を摂るようにするだけで、体質改善につながり、月経もそれに伴って改善していく場合が多くあります。
3.運動不足
運動不足は言うに及びませんね。
運動不足は現代人の多くが抱える問題です。
動かなければ冷えは解消できませんし、血流が弱くなりますから余計に冷えていきます。
この原理原則は男女に関わらず重要かつ、最も改善が容易なはずなのですが、私も含めて運動を継続するのが最も困難という、永遠の課題ですよね。
運動不足と言えば、長距離などの体力面が注目されがちですが、長距離を走ったり、長い時間の軽度な運動をするにも、最低限必要な筋肉が必要です。
雨の日や、しばらく運動をしていなかった方は、まずはふくらはぎの運動からしてみるといいでしょう。
楽陽どうでしょうチャンネルで、ふくらはぎの運動をご紹介していますので、参考にしてみてください。『楽陽どうでしょうチャンネル【かかと上げ運動をしよう】』
ふくらはぎ=下腿三頭筋は第二の心臓とも呼ばれる、人体の血流において大切な筋肉です。
ふくらはぎの収縮によって人体の7割の血流を補助しています。
筋肉の収縮によって血流が促進され、心臓の助けになる部分を考えても、最低限必要な筋トレはやっておきたいものですね。
瘀血があるかは月経(生理)血でわかる
病理産物である瘀血があるかは、自分で調べることができます。
瘀血は月経血ではレバー状の塊として出ますから、一目瞭然です。
塊が大きかったり、小さくても数が多いなど、瘀血の度合いや体内状況によって違いがあります。
例えば500円玉大、小豆程度がいくつも…と、それぞれに体内状況を示しているので観察してみるといいでしょう。
また、慢性的に瘀血がある方は、それが子宮内膜症や子宮筋腫などに変化していくことも多いようです。
瘀血は解毒しきれなかった体内毒素ですから、レバー状の塊が毎月出る方は、それだけ自分の体内環境が悪い状態だと認識し、排出していく努力が求められます。
排出するには、適度な気血の流れが必要です。
冷えたり、運動不足だと気血が流れが悪くなるので、毒素の排出面から考えても運動は必須です。
また、排出量を上回る吸入も、もちろんダメ。
飲食内容に気を付け、普段から体調をコントロールしていくことが大切です。
月経(生理)痛改善のために
いかがでしょうか?
西洋医学と東洋医学では同じ月経一つとっても、まるっきり原因と結果の見方、改善へのアプローチが違うことがわかってもらえるかと思います。
薬は生理痛の痛みを数時間抑えるだけです。
なぜなら、出てきた症状に対してのみ、対応しているからです。
結果である症状に対して画一的に薬を出しても、これまで示してきた通り、原因が違えば効果は異なります。
ある薬が効かない場合「それじゃ、こちらの薬を試してみましょう」となり、そのうえ「この薬は強いから胃薬も一緒に…」ということも多いですよね。
結果として薬漬けの人を増やしています。
もう一つ加えて注意していただきたいのが、西洋薬はそのほとんどが体を冷やす成分です。
なぜなら西洋医学は炎症=痛みと捉えて、それを抑えるか取り除くことに主眼を置いているから。
冷えると血流は当然、悪くなります。
余計にあなたの瘀血を排出する力=解毒作用が弱くなりますよね。
また、「薬の9割はやめられる」の著者である、松田史彦医師は、その著書において、
「薬は毒である」
と公言しています。
解毒をしなくてはいけないあなたが、痛み止めとはいえ毒を自ら吸入することは、自傷行為だと考えてしまうのは、わたしだけでしょうか。
もちろん、仕事などで一時的にでも痛みを抑えないとならない場合もありますから、薬を全否定しているわけではありません。
鍼灸治療は効果的?
では鍼灸治療で、月経痛はなくなるのでしょうか?
答えは
半分正解、半分不正解
です。
原因のところでお話したとおり、その人ごとに原因が違うことが一番で、その原因が思ってもいなかったものであったり、わからない方が多いのだと思います。
原因がなんなのか調べて、あなたに知ってもらい、それを改善するにはあなたの力も必要。
東洋医学はあなたの体を正しい状態に持っていき、自分の力であなた自身を治すのがコンセプトです。
自分の力で改善できるように、あなたの体調を持っていくのが私の仕事で、治すのはあなた自身なのです。
だから、半分正解、半分不正解…となるわけです。
まとめ
月経痛をまとめると
- 血自体と血流の力が足りない=肝血虚状態
- 瘀血などを処理する免疫の力が弱まっている
- 免疫の処理能力よりも、体に入ってくる瘀血の原因が多い状態
であるということです。
弱っている状態のあなたが、自分の力で免疫の力を改善させるのは、正直言ってかなり根気が必要です。
一般的には体質改善には最低三カ月が必要と言われています。
「漢方三か月」という言葉を聞いたこと、ありませんか?
あなたの症状の軽重によって、施術効果に差がでることは否めません。
ただ、数回やってみても変化がないほどの症状を、自分の力だけで改善するのは、ますます根気と時間が必要ですよね。
それゆえに、改善していてもその速度がゆっくりなので、ハッキリした効果がでる途中でくじける方も多いのではないでしょうか。
そこで鍼灸です。
瘀血など > 免疫の力
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瘀血など < 免疫の力
一時的にでもこんな状態にする力が、経絡鍼灸治療にはあります。
その人の月経痛の原因が血流が滞っている方は流れるように施術を行いますし、冷えていれば温めるように施術をします。
免疫の力が上がれば瘀血などをどんどん排出していきますから、血流改善によって肩こり、腰痛、むくみなどの改善にもつながります。
症状が重い方ほど施術効果が反映しにくいの、で最初のころは頻度や回数が多くなりますが、定期的に施術を重ねることで一回ごとの改善効果が増していきます。
自分でやるなら、漢方薬を飲んだり、食事内容を徹底的に改善していき、この免疫の力が上向く状態に持っていくまでに、まずは最低三カ月かかるということですね。
鍼灸を併用していけば、その半分くらいで上向かせることができる、と私は思っています。
その辛いつらい月経痛が、もっと早く、ほとんど気にならない程度になったらいいと思いませんか?
鍼灸治療と共に、あなたに合った養生法も提案していきます。
楽陽堂鍼灸院にきてもらえたなら、私が責任を持って月経痛のない、
笑顔の毎日をあなたが取り戻すまで
病気と闘います。
また、当院は住居マンション6階にある、完全予約制・個室のプライベート鍼灸院ですから、お悩み解決までだれにも知られることなく通院できます。
楽陽堂鍼灸院はあなたのライフメディカルパートナーです!