秋も深まり、冬の気配も…と通常なら感じる11月のはずですが、2023年はどうやらまだ冬は遠そうです。
これを書いている11月の初旬は、東京地方で日中が25℃前後という、秋の深まりよりも夏に近い気候が続いていて、異常気象の真っただ中。
それでも空気は乾燥しているので、お肌の調子も今一つという方も多いことでしょう。
そこで、今回は乾燥肌に対する東洋医学と西洋医学の視点や原因、対策の違いなどを書いていこうと思います。
乾燥肌に悩んでいるけど対策が後手に回っている方は、特に最後までお付き合いくださいね。
結論:東洋医学では気血の不均衡、西洋医学では空気の乾燥
結論から述べてしまうと、
東洋医学では気血の不均衡
西洋医学では空気の乾燥
が主な原因と言えます。
東洋医学では体の栄養や毛穴の調整、体温など、全ては気血の巡りで行っており、それが全て順調であれば、体内も体外も不均衡が生まれないので異常(病気)にならない、と考えます。
ですから、乾燥肌は気血の巡りが何かしらの原因で悪いところがあるから起こる、皮膚表面への疾患の一つである、と考えているのです。
対して西洋医学の乾燥肌は、空気中の湿度の不足が原因で引き起こされ、体表を保湿することが大切だ、と結論付けています。
内側に問題があると考える東洋医学と、外側からの影響に問題がある、と考える西洋医学。これはそのまま治療や予防においても、逆のアプローチを行うこととなります。
それでは、それぞれの原因を見ていきたいと思います。
まずは、みなさんになじみの深い、西洋医学からみていくことにしましょう。
西洋医学で考える肌乾燥の原因5つ
秋や冬に肌が乾燥しやすい理由は、以下のような要因が関与しています。
今回は代表的な理由を5つ挙げます。
①低湿度の影響
冬季は一般的に空気が乾燥しやすく、屋外の低湿度や室内の暖房によって室内の空気が乾燥します。低湿度は肌の水分を奪い、肌の乾燥を引き起こす原因となります。
水分と共に皮脂の減少も原因となり、角質層も固くなるので、余計に乾燥肌になっていきます。
②冷たい気温への暴露
寒冷な気温は、肌の表面の保湿を奪い、乾燥や刺激を引き起こします。風や寒冷な気温への露出により、肌の水分蒸発が増え、肌の保湿バリアが弱まることがあります。
また、冷気によって血管が締まり、血流が減少することで皮膚が栄養されなくなるので、乾燥肌が進みます。
③温水の過度の使用
寒冷な気候下では、温かいシャワーやお風呂に長時間浸かることが魅力的ですが、実際にはこれが肌を乾燥させる要因になります。過度に熱い水で洗うと、皮脂が除去され、肌の保湿バリアが傷つきます。
④温暖な部屋の暖房
暖房器具の使用は、室内の空気を乾燥させることがあります。暖房により、空気中の水分が減少し、それが肌の乾燥を招きます。
最近は湿度を保ちつつ、温暖にしてくれるエアコンなどが出てきたのは、この理由からです。
⑤温暖な部屋の暖房
暖房器具の使用は、室内の空気を乾燥させることがあります。暖房により、空気中の水分が減少し、それが肌の乾燥を招きます。
最近は湿度を保ちつつ、温暖にしてくれるエアコンなどが出てきたのは、この理由からです。
これらの5つの影響により、お肌は乾燥していきます。
東洋医学で考える乾燥肌の原因5つ
それでは今度は、楽陽堂鍼灸院の採用している東洋医学の視点から、乾燥肌の原因として考えられるものを5つ、挙げていきます。
①気・血の不均衡
東洋医学では、気(活動や熱エネルギー)と血(栄養や水分の流れ)が体内でバランスを保つことが重要とされています。
気や血の流れに問題が生じると、肌に栄養や水分が行き渡らず、乾燥肌を引き起こします。
②腎臓の機能低下
東洋医学において、腎臓は体内の水分をコントロールし、体の根本的な水代謝を司るとされます。腎臓の機能が低下すると、水分代謝が悪化し、肌の乾燥を招きます。
また、腎は陽気によって体温調整や免疫などを調整していますから、乾燥すると病気に罹りやすくなります。
③陰虚
東洋医学では、陰と陽のバランスが重要視されます。陰の不足がある状態(陰虚)は、体内の水分不足を示すことがあり、これが乾燥肌の原因になると考えられています。
陰は水分や体力の素になる精でもあるので、少なくなると体調全般を低下させてしまいます。人体の78%が水分なことも、陰が私たちにとって重要なことを教えてくれています。
④気の滞り
東洋医学において、血は心臓の拍動の力と気の動く力を借りて手足の先まで流れていきます。
気の滞りは血の流れの滞りなるので、肌の栄養や水分が不十分になるため、乾燥肌を引き起こします。
⑤気の不足
東洋医学では、気の不足が体内の水分不足に関与すると考えています。
衛気と呼ばれる気の作用が腠理の開闔(そうりのかいごう=毛穴の開閉)を行っていて、衛気が不足すると、腠理の開闔がうまくできず、肌の水分が出て行ってしまうのを防げなくなるので乾燥肌になります。
これらの原因によって、お肌は乾燥になっていくのですが、東洋医学で考えると外的要因より、内的要因が乾燥肌に強く関与していることがわかりますね。
西洋医学から考える乾燥肌対策
それでは乾燥肌対策を書いていきたいと思います。まずは西洋医学から。
西洋医学で考える乾燥肌対策は、その原因を外的要因に求めているので、対策は外的要因に対する物になります。
これは西洋医学が乾燥肌という症状を対症療法で行うため、原因の根本解決にならないといえます。
ただその代わりに、乾燥肌については即効性があり、多くの方に比較的万能に効果があることは、とても有意義だと思います。
では、さっそくいくつかの対策を書いていきます。
自分でできる対応策:西洋医学編
乾燥肌に対処するための基本的なケア方法には以下のようなものがあります。
①適切な洗浄方法
強い洗浄剤や石鹸を避け、肌に優しいpHバランスの洗顔料を使用します。洗顔後は肌を優しくタオルで押さえるようにして水分を拭き取りましょう。こすっちゃダメ!
顔以外にも乾燥が強い方は、界面活性剤が入っていないものを使うと、肌水分が必要以上に奪われなくて済みます。
②保湿
保湿剤を使い、洗顔後や入浴後など、肌が水分を失った直後にしっかりと保湿を行います。保湿剤は肌の水分保持能力を高め、乾燥を防ぎます。
美容液や乳液などを、お風呂上りや洗顔後はできるだけ早くつけよう!ここばかりはスピード勝負。化学物質ができるだけ少ないものを選ぶと、より良い結果につながります。
③適切な入浴方法
長時間の熱いお風呂は、毛穴が開くので肌の水分を奪いますし、流し続けるシャワーはお肌の水分だけでなく、油分も奪っていくので要注意!
短時間で温度のぬるめのお風呂やシャワーを利用し、入浴後はすぐに保湿ケアを行います。
④加湿器の利用
室内の湿度を保つために加湿器を使用し、乾燥した環境を避けます。特に冬場やエアコン使用時に効果的です。
寝る時に加湿器の音が気になる人は、口の広いマグカップなどに水を入れていくつか置いておくだけで、かなり違います。
⑤適切な食事と水分摂取
適度な水分を摂取し、バランスの取れた栄養を摂ることが肌の健康維持に役立ちます。特に、ビタミンCやオメガ3脂肪酸を含む食品は肌に良い影響をもたらします。
お肌自体が元から栄養・水分不足では、当然の事ですが乾燥しやすくなります。
⑥保護
寒さや紫外線から肌を保護するため、帽子や手袋などを利用します。日焼け止めを使用し、紫外線から肌を守ることも大切です。
我が家では、一年を通じて常に日焼け止めを塗っています。こればかりは化学物質が…とは言っていられませんので、仕方ありません。
西洋医学で考える対策は、単純に外からの刺激(乾燥・紫外線)からの防御と、空気中の湿度を上げるなどして、ダメージを減らすことが乾燥肌対策になるということです。
誰にでもすぐに効果があるので、できることをできる限り早く、継続的にやっていきましょう。
東洋医学から考える乾燥肌対策
東洋医学で乾燥肌対策は、その原因を外的要因だけに求めていません。むしろ、内的要因が強いと考えています。
細かく書いていくと膨大な量になるので、今回は肌を支配している肺と、肺が担当する気である衛気(えき)に絞って書いていきます。
原因のところでも書いた通り、気の中でも衛気は腠理の開闔(そうりのかいごう=毛穴の開閉)を行っていて、衛気が不足すると、腠理の開闔がうまくできず、肌の水分が出て行ってしまうのを防げなくなるので乾燥肌になります。
これは肺が大きく関わっていて、息を吐くときに衛気が体表を巡って血の流れを補助しています。
血が肌の水分や栄養を補う性質があるのは東洋医学でも同じなので、気が巡らない=肺が弱ると乾燥肌になります。
肺が弱る原因はいくつかあるのですが、そのうち重要なものが甘い物の摂り過ぎと水分不足です。
甘いものを食べ過ぎると、湿と呼ばれる粘着性の水分が多くなり、巡りを悪くします。同様に血のほとんどは水分ですから、水分不足は巡りを悪くするのです。
また、ストレスは血流を司る肝の働きを悪くするので、これも気と血の流れを悪くします。
これらの関係を示した図が、こちらです。
前者を相性関係といい、矢印の前が親で後ろが子の親子関係になっています。
後者を相克関係といい、前者が後者をコントロールする立場です。
相性関係からすると、甘味である脾(ひ)が親なので、甘味が多くなりすぎると子である肺が振り回されて疲れてしまう、といったところです。
同じように相克関係でも、ストレスが溜まり過ぎると肺が肝を抑えるのに力を使いすぎてしまって、やはり弱る、と考えます。
こんな風に考えるので、東洋医学で考える乾燥肌対策は、適度にバランス良く食べ、寝て、運動することが最も大切で、最も効率的で最も永続的な対策となります。
楽陽堂鍼灸院の鍼灸は、その対策を効率的にアップさせる効果があり、あなたと二人三脚で体質改善、自律神経を整えることをしていきます。
体質や環境の違いがありますし、あなたにとって何がどうバランスが崩れたことで乾燥肌になっているかも、個人によって違うのです。
私が症状によってこのツボがいい、というのをめったに書かないのは、こういった理由からです。
とはいえ、乾燥肌や冷え性に対して、治療ではなく養生としてならツボ療法は有効な場合も多いので、次の章ではせんねん灸を使った対策をお教えします。
お灸で対策するなら、このツボがいい
食事、運動、睡眠にスマホ時間をコントロールしながら、自宅でできる乾燥肌対策として有効なのが、お灸です。
お灸は熱エネルギーですし、体表への影響もあるので衛気の補助にもなります。
衛気は先ほど述べた通り、肺が担当していますから、肺の経絡に関連するツボにお灸をすると、乾燥肌や冷え性対策にもなります。
ですので、ここで代表的な二つのツボをお教えしますね。
使うお灸はせんねん灸です。
まずはせんねん灸のレギュラーを使ってみて、熱が強すぎるようでしたらソフトに、全然熱を感じないならハードを使ってみてください。
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くれぐれも火傷や火事に気を付けてくださいね!
院長の山口はせんねん灸セルフケアサポーターでもありますから、楽陽堂鍼灸院の患者様にはみなさん、養生に使っていただいています。
さてそれでは、乾燥肌&冷え性対策のツボのご紹介です。
太淵(たいえん)
親指の付け根あたりで、手のひら側にある手首の一番深いしわの上のくぼみで、脈を感じるところにある。
手の太陰肺経のツボの一つで、兪土原穴。
肺に関わる症状全般に効果があるとされる。
復溜(ふくりゅう)
内くるぶしの頂点から指幅3本分上のアキレス腱の直前にある。
足の少陰腎経の金穴。
腎の陽気を高める効果があり、同じ金の属性を持つ肺の働きを助ける。
ツボはだいたい100円玉~500円玉くらいの大きさがあるので、ある程度場所があっていれば、それなりの効果があります。
楽陽堂鍼灸院での治療の場合は、その範囲の中で効果が強そうな米粒くらいのツボの中のツボに対して施術を行っているから、高い効果が出せるのです。
まとめ
いかがでしょうか。
ここまでをまとめると
西洋医学では、乾燥肌の原因を外的要因に求めているので、保湿や紫外線からの防御が最も有効で、即効性があるが、対症療法的防御手段を行う
東洋医学では、外的要因よりも内的要因に原因を求めているので、鍼灸術で内側から整えつつ、食事・運動・睡眠のバランスを整え、永続的な防御手段を行う
ということですね。
今回は乾燥肌と冷え性対策になるツボもご紹介したので、やってみてください。
お灸の香りはリラックス効果もありますから、やらない手はありません。
乾燥肌も肩こりも腰痛も結果であり原因ではなく、人間関係のストレスによって筋肉のコリが常態化していること、PCやスマホの使い過ぎによる自律神経の乱れが原因です。
それを修正、良くしていけるのが楽陽堂鍼灸院の鍼灸術。
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