ご覧いただきまして、ありがとうございます。
楽陽堂鍼灸院の院長山口です。
今回は東洋医学の根本である、陰陽についてお伝えしていこうと思います。
最後まで読むと、いろいろな症状で苦しむあなたの改善のヒントが詰まってますので、最後までごらんください。
さて、東洋医学のお話をするにあたって、絶体に外せないのが『陰陽』の考え方です。
なぜなら、この概念こそが東洋医学系鍼灸にとって、根本であり施術の全て=原理原則だからです。
今回はその陰陽について、簡単に書いていきたいと思います。
気一元論~陰陽は元々一つ~
陰陽という考え方は、元々一つのものを二つの性質に分けたものです。
『気一元論』と言って
『気は一つであり全てである』
という概念です。
某マンガの主人公兄弟が先生から与えられた
「一は全。全は一。これがどういうことか答えろ」
と、問いかけられ、悩みに悩んで兄弟が出した答えが
「全は世界。一は俺」
でしたね。(ハガ〇ンですが、知ってますか?)
そうなんです。実はこれ、東洋思想なんですね。
東洋思想では、全てのものは気でできているという考えで、宇宙も、地球も、日本も人間も虫だって、気でできているんです。
食物も気でできているので、食べれば私たちの体の一部になるというわけです。
とはいえ、朝も来れば夜も来るし、男もいれば女もいる。
東洋医学でよく聞く「気・血・水」も、もちろん気からできていますし、この三つも陰陽に分かれます。
「気はみんな同じはずなのに、これはどういうことなんだ?」と考えて「対極の二つの性質に分けてみよう!」と分けてみたのが陰陽です。
それでは、東洋思想から見た陰陽には、どんなものがあるのか?
少しだけ見ていきたいと思います。
陰陽はこんな風に対比されている
陰と陽、二つの対になる概念は、あなたが思っているよりも、ずっと日常に浸透しています。
そのなかでも、代表例が【男女】であり【昼夜】でしょう。
この並び、両方とも共通点がありまして、左が陽、右が陰になっています。
なんでも対比になっていますが、あくまで両極端に分けた場合である、と思っておいてください。
男女で言えば、女性が好きな男性が正常とされていますが、男性が好きな男性もいますし、女性が好きな女性、あるいは男性の体だけど女性の心を持つ、などなど、いろいろな要素を持ちます。
でも、それを否とせず、陰の中にも陽があるし陽の中にも陰がある、と受け入れられる柔軟性も、東洋思想の良いところです。
それでは実際に、陰陽をどのように分けているか?
図で見ていきたいと思います。
陰 | 陽 |
夜 | 昼 |
女 | 男 |
冷 | 温 |
固 | 柔 |
下 | 上 |
内向き | 外向き |
小 | 大 |
地 | 天 |
遅 | 早 |
精神的 | 物理的 |
10個ほど挙げましたが、こんな感じでしょうか?
では、それぞれがどんな役割などを持っているかを、少しだけ見ていきたいと思います。
陰陽の「陰」は心身のエネルギー源
陰ってどんなイメージ?と聞かれたら、ほとんどの人が思い浮かぶのが、図で示した通り、暗い、冷たいなどでしょう。
ぱっと思い浮かぶのはマイナスイメージが多いと思いますが、実際、東洋医学でも多くは同様です。
ですが、ほかにもたくさんイメージがあります。
その中でも、
形のあるもの
内向きに働く
心身のエネルギー源
はとても大切なイメージです。
内向き・中心向きにベクトルが向いている=形が維持できるのが陰なので、血・水は陰に属します。
「え?陰がエネルギーなの?!陽じゃないの?」って思いますよね。僕もそうでした。
この点を理解するためのわかりやすい例をあげると、ガソリン車です。
車が走るにはガソリンが必要で、ガソリンはそのまま形が水です。
ガソリンはそのままではエンジンを回すためのエネルギーになりません。
ですが、気化させて、火を付け、エンジンを回すことで動力としていて、ここが陽の仕事です。
動力の源としての存在=ガソリンは、人の体で言えば血や水分にあたります。
こうやって考えると、陰が心身のエネルギー源であるということがわかってもらえると思います。
陰主陽従
エンジンがいくら優れていても、ガソリンがないと走りませんよね。
だから、陰は因果すべての原本である、と考えられているのです。
その考え方から、東洋思想にはこんな言葉があります。
「陰主陽従」
”いんしゅようじゅう”と読みますが、その漢字のままの意味です。
陰が主で、陽はそれに従っている存在である。
この言葉や、先ほどのガソリンとエンジンの表現からも、陰こそが人体や自然の在り方において、最も強い・位の高い存在である、と言えます。
陰陽における「陽」は変化し続ける
今度は陽についてですが、どんなイメージでしょうか?
陽は気・血・水の中で気に相当し、合わせて陽気と呼ばれることが多いので、明るい、温かい、まぶしい…といったところでしょうか。
もちろん大正解!
これらに加えて大切なイメージが
外向きに働く=動き回って止まらない
変化し続ける
ベクトルが中心から外向きなので、陽気な人は外で遊ぶのが好きだったりします。
人間でいえば、陽の代表例である子供は、一時もじっとしててくれません。(苦笑)
目をちょっと離したすきに、子供がどこかに行ってしまった、なんて経験がある親御さんも多いでしょう。
これは子供は陽の塊である、彼らの性質なのです。
逆に常にジっとしてる子は大抵、病気ではないか?と疑われますよね。
子供が陽の化身であるからこその性質なので、ケガをしたり、他人に迷惑をかけないなら、叱ってはいけません。
重要な部分のもう一つが、彼らは日々驚くべき速度で成長=変化し続ける存在でもあります。
陽気が最大ともいえる赤ちゃんは、その陽気の強さのため、ふわふわ・ぷにぷにして、とても暖かいですよね。
気づいたらハイハイして、よちよち歩きをして、自分でご飯を食べるようなり、喋るようになります。
子供たちの成長のなんと早いことよ…。
そして、陽気と聞いてイメージする色、赤や黄色を反映して、とても血色よく見えます。
老齢年代の方でも、ご自分の足で旅行にどんどん行けるような方は、家でジッとしていることが多い方よりも、大抵の場合、血色も肌の質感もよい方が多いのは、納得のいくことと思います。
こう考えると、陽は心身を温める力があり、動きまわり、変化し続ける性質であることが、理解できるでしょう。
陰陽はバランスが大切
すべてのことが陰陽が混在しているのが世の中の道理であり、ヤジロベーがまっすぐ立っている状態=陰陽バランスが取れている状態だと言えます。
この状態であれば、物事に動じることもなく、病気もなく笑顔の毎日が送れます。
先ほど例で挙げた赤ちゃんも、ちゃんと陰陽で考えてみると、陰陽のバランスがわかります。
赤ちゃんは確かにふわふわ・ぷにぷにですが、もし陽だけなら、赤ちゃんとしての形を保っていられません。
陽は外向きの力を持ちますから、形を保つのには向いていないんですね。
それじゃぁどうしているかと言えば、陰の内向きの力が作用して、肌や血管、そのほかに固定させ、規則正しく陽が流れるように抑制しています。
そして、親御さんたちから受け継いだ、精を使って、陽の力を借りて上へ横へと成長していくのです。
ここでも陰である血によって、心身が栄養されたりしているので、陰陽はともに、その人にとって必要なもの…なんですね。
例えばですが、成長において陽が少ないと小人症になったり、逆に陽が多すぎると巨人症になったりするのですが、これは陰陽のバランスが崩れた時に、病気として現れる現象のひとつ、なんです。
逆性のものがお互いにしっかりと、適切に干渉しあっていれば、病気にならない。
これこそが、東洋思想の根源であり、鍼灸の最も大切な概念である、とされています。
陰陽転化
この図を見たことある方は多いでしょう。
これは陰陽太極図といい、この世の陰陽の理を示しています。
あまり知られていませんが、この図の中点を通った直線上では、白黒(陰陽)のバランスは絶対に一対一なんです。
物事には必ず陰陽があり、また一見どちらかが多そうに見えても、視点を変えると、なにかしらでバランスを取っていることを示しています。
とはいえ、物事を進めていくと必ず、陰陽どちらかに傾くことは否めません。
東洋医学では陰陽どちらかだけが強すぎる状態になると、逆の性質に大きく揺り戻されるとされています。
これを陰陽転化といいます。
例えば…、物凄く何かに熱中している最中、突然テンションがガタ落ちして集中がきれた、みたいな体験をした方も多いのではないでしょうか。
これは熱中してエネルギーを消費しすぎたことによる、陰陽転化です。
もし、どちらかだけの状態が続けば、死に至ります。
運動を休まずし続ければ、心肺機能がやられて死んでしまいますよね。
食べ過ぎを通り越していくと、胃が破裂しそうになるので、満腹感が出て食べられなくなります。
それでも食べると、胃の中のものからすると、逆転現象=嘔吐という現象が起きます。
こういう生命活動の危機が訪れる前に、逆転現象を起こして心身を守る機能が働くんですね!
陰陽消長
西洋医学と比較するとき、東洋医学において最も特徴的と言っていいのが、陰陽消長です。
陰陽消長は白でも黒でもない部分が存在せず、むしろ、100%どちらかだけなんて、ほぼ存在しないという考えです。
今風に言えば、健康グラデーション、とでもいいましょうか。
下の図で一番左が完璧健康!だとして、右側が病気Maxだとします。
西洋医学では、この図の右から30%のラインを超えると、病気と判断されるとします。
でも、東洋医学では一番左側以外は病気なんです。
えっ?って思うかもしれませんが、この概念なら人はみんな病気なんですよね。
ただ、その人その人の体力や気力や環境などによって、例えば25%のところで発症する人もいれば、75%でも発症しない方がいる。
ただそれだけの違いでしかありません。
つまり、なるべく左側の0に近づけていくことで、発症しない状態をキープすることが大切です。
自然界で例をみると、昼と夜を例にすることが多いのですが、夜は昼から夜にいきなりなるわけではないですよね。
朝、陽が昇って、お昼にかけて陽が強くなり、昼からだんだんと陽が弱くなって、だんだんと空が暗くなって、そして夜になります。
逆に、夜は夕暮れからだんだんと夜色に空が染まり、真っ暗になって星が見えてきます。
そして夜空が白み始め、また朝が来ます。
何事にも真っ黒や真っ白はなく、黒の中にいくらかの白があり、白の中にもいくらかの黒がある。
世の中の事象全てが白黒はっきり分けられないように、全てのことはどんなに偏っていても必ず、対称的な要素を含んでいるのです。
だって、絶対零度か太陽しかなかったら、地球は存在していません。
施術においても同様です。
熱っぽいけど、冷えも感じてて、鼻水もちょっと出るけど、咳も少し出る。
こんな風邪をひいたこと、ありますよね。
白黒はっきりしかなければ、鼻水や咳で言えば、一瞬も止まらず出続けるか、出ないかの二択のはずです。
たくさんの要素が複雑に絡み合い、結果として発症しているので、それを紐解いて施術していくのが鍼灸施術です。
ある病気がある特定の原因だけで発症しているなら、こんなに簡単なことはありません。
ある病気が進行していき、ある程度まで来たら、心身に異常を自身が感じられるとします。
だけど、「体調が少し悪いなぁ」と思う程度では、病院には行きませんよね。
この「体調が少し悪い」うちに平常に戻したり、平常をキープする心身を作るのが、東洋医学であり、鍼灸施術の得意分野なのです。
とはいえ、生活をしていれば、どうやってもどちらかのエネルギーを多く消費していくことになりますので、陰陽両方がバランスよく消費されることは、残念ながらほぼありません。
そうなるとバランスが崩れるのですが、崩れたバランスを整えるように気・血・水が働きます。
体を働かすための栄養が摂れなければ、栄養失調で死んでしまいますし、心が栄養されなければ、うつ病などとして表れてくることになります。
こうして必ず同じバランスに整えようとする力が働くように力が働く、というのが東洋医学の基本理念です。
そして、そのすべてである、気血水を作り出しているのが、消化器系である脾胃(ひ・い)です。
足りなくなった気血水を、しっかり補充するためにも、普段からバランスの良い食事と運動、睡眠をしておくことが大切になります。
食事・睡眠・運動、全部ちゃんとやってるけど、全然バランスが整わないな~って思った方は、自分が気血水のうち、どれが足りてないのか?の、認識が間違えているかもしれません。
もしくは、どれかを補充しているつもりで、負荷をかけすぎて余計に悪化させている可能性もあります。
2週間から1カ月、生活習慣を変えてみても、心身の変化が感じられないなら、一度東洋系鍼灸師を訪ねてみるといいと思います。
心身の安定のために陰陽バランスを整える
すでになにかしら発症している方は、まずは平常に戻すことをしなくてはなりません。
そのため、初期は週に1~2回程度受診してもらって、よくなってきたら期間を空けていくのが、通常です。
平常に近づくにつれ、期間が空いていき、二週間から月に一回くらいへ。
最後は受診しなくてよくなる=卒業が目標となります。
新たに体調不良を感じるようになったら、改めて受診してください。
または心身の安定をキープするために、鍼灸施術を受けて健康チェックもいいでしょう。
あなたにあった養生指導もしますから、ほんの少し、自身を労わってあげてください。
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みなさんの生活が、笑顔溢れるものになりますよう、全力で施術します!!