春の風にそよぐ憎い花粉!東洋医学から考える花粉症対策

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また、春が来た…。花粉が辛いよ~(泣)
ひたすら花粉症薬飲んでるから、眠いしダルい…

 あなたはきっと花粉症地獄でお困りで、少しでも対策法はないかとこのブログにたどり着いたことでしょう。

 地元・葛飾を日本一健康寿命の長い地域にする夢を持つ、楽陽堂鍼灸院の山口です🌿

 今回は国民病とまで言われる花粉症を、東洋医学的な視点からも見つめることで、その対策を考えて行こうと思います。

 日常で使えるツボもご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

結論:花粉症は鍼灸で軽減できる

鍼灸で花粉症は軽減できる

 WHO(世界保健機構)によって、呼吸器系疾患や目に関わる症状に対して、その有用性が認められていることから、花粉症は鍼灸の適応症状だと言えます。(WHO適応疾患一覧)

 ただし、根治・完治は大変に難しい症状なのは間違いありません。

 花粉症は、体内の花粉を免疫が病原体だと間違えて攻撃する疾患ですから、免疫機構を整えるか、体内花粉を少なくするかの2点しか、完治方法がないからです

 更に加えて言えば、花粉症はここ100年位に急速に激化した症状であり、わたしたちの免疫機構や体の進化が追いついていないのが現状。

 その意味では、薬で抑えるのは体内の花粉の量が減るわけではないので、完治はほぼ100%できないと考えたほうがよいでしょう。

 鍼灸は体のエネルギー循環や体温調節などを行うことで、体内花粉の排出や免疫の力を上げることができるので、薬よりかなり有効な手段になります。

 この意味で言えば、鍼灸を受けることで、完治は難しくとも症状を和らげていくことは可能であると言えます。

 よい効果を早く出すために、病気自体のことを知っておくことは重要ですから、まずは花粉症の歴史から簡単に見ていきましょう。

1980年代半ばまで、花粉症はほぼなかった

花粉イメージ

 いきなりですが、衝撃の事実をお伝えします。

年配の人のなかには「昔は花粉症なんてなかった」という人もいます。
にわかには信じられないかもしれませんが、実はそれは本当で、かつて花粉症は、ほとんど発症する人がいない珍しい病気でした。

ヒロオカクリニック:「花粉症は昔はなかった? 少なかった?」より

 そうなんです。

 実は1985年ころまで、花粉症は極稀な病気でした。

 年配世代の方は「春になると毎年カゼを引くんだよね」という会話をした方たちも多かったそうです。

 それが徐々に増えて行って、アレルギー性鼻炎と呼ばれるようになり、今では国民の半分が患う国民病になってしまいました。

 東京都福祉保健局の「花粉症患者実態調査報告書 2016年度」によると、都内の特定の観測地での「スギ花粉症推定有病率」は

大田区での花粉症発症者率調査結果
1980年代:8.9%

1990年代:17.7%
2000年代:28.5%
2010年代:49.1%

と、発表されています。

 恐らく、今はもう少し増えているのではないでしょうか?

 ちなみに、いわゆる発展途上国では、花粉症はやはり稀な症状なんです。これらの国にだって、花粉を飛ばす植物はたくさんあるにも関わらず、です。

 この辺に、花粉症の秘密が隠されていそうですね。

花粉症のメカニズム

 花粉症発症の秘密は、そのメカニズムにあります。

 厚生労働省の【花粉症環境健康マニュアル】によれば

 花粉が体内に入ってもすぐに花粉症になるわけではありませんし、アレルギーの素因を持っていない人は花粉症にはなりません

 身体の中に花粉が入るとアレルギー素因を持った人はその花粉(抗原)に対応するための抗体を作ります。

 この抗体は IgE 抗体と呼ばれるもので、花粉によって異なった抗体が作られます。
 人によって期間が違いますが、数年から数十年花粉を浴びるとやがて抗体が十分
な量になり、この状態を感作が成立した
と言います。

 この後に再び花粉が身体の中に入ってくると、くしゃみや鼻水、涙などの花粉症の症状が出現します。

厚生労働省:【花粉症環境健康マニュアル】より
花粉症のメカニズム
厚生労働省HPより

 この解説を見ると、そもそもとしてスギやヒノキなどの種類に関わらず、花粉症にならない人も一定数いるということがわかります。

 それと、素因を持っていても、体内の花粉量が一定以上にならなければ、図にある準備段階で泊まるので発症しないこともわかります。

 簡単に考えると、体内の花粉専用コップに貯められる花粉が、コップから溢れてしまうと病原体だと免疫が認識して、攻撃を開始する。

 だったら、花粉を【体内に入れない】か【出しちゃえばいい】ということですね。

 このあたりが、花粉症の完治が難しいと述べた理由であり、鍼灸や日常生活で花粉症を改善するためのヒントです。

なぜ、昔は花粉症がなかったの?

なぜ花粉症は1980年はなかったか

 昔は花粉症がなかったのはなぜかと言われれば、通常の花粉は呼吸器系の深部に入ることができないから、というのが答えです。

 とはいえ、花粉は近代になってから、悪影響を出すように樹木や花が進化したわけではありません。

 昔から少数派でも花粉症があったということが、文献などからもわかっていますし、進化なんて100年単位で起こるわけがないのですから。

 では、なぜここ100年で一気に花粉症がこれほどまでに、国民病になったのでしょう。

 この章の冒頭で、

「花粉は呼吸器系の深部には入れない」と書きましたが、「体内に入る量が多くなったから花粉症になる」、としている前章と矛盾がありますよね。

 ここには現代社会が抱える病が絡んでいて、その現代社会の病が大気汚染です。

 これまでは免疫機構である鼻や喉の粘膜を花粉が通過できないので、排泄されてアレルギー症状はでませんでした。 

 ところが大気汚染によって花粉に化学物質が付着し、

何らかの衝撃を受けると破裂してしまい、そのときアレルゲン物質を放出します。

 アレルゲン物質の大きさは約1ミクロンほどで、この大きさだと呼吸器深部に入ることができ、花粉症の症状を引き起こします。

 つまり花粉症は、衝撃を受けて破裂した花粉によって引き起こされる、といえます。

ヒロオカクリニック:「花粉症は昔はなかった? 少なかった?」より

 この記事では、破壊された花粉は元の大きさの1/30程度まで小さくなるので、わたしたちの免疫機構を通過してしまう、とも述べています。

 花粉が自然破壊される率は20%程度で、化学物質が付着すると80%まで破壊率が上がるそうですから、鼻を頻繁にかんでいると、花粉を刺激して余計に破壊が進んで花粉症が悪化するとも言えそうです。

東洋医学からみた花粉症

 花粉症は、かなりの少人数とはいえ大昔からあったようで、

花粉症の起源には諸説あって、古くは古代ギリシャの医師ヒポクラテスが花粉症と思われる病気について記録を残しているという話があります。

ダイアモンド・オンライン:花粉症にまつわる「10のトリビア」より

 同じように、3000年の歴史をもつ東洋医学でも、花粉症は多少の注目はされていたようです。

 ただし、顕微鏡や血液検査なんてない時代ですから、花粉によるものとは思われておらず、春の風物詩的な、現代でいうカゼの一つと思われていました。

 東洋医学ではカゼを、風邪(ふうじゃ)による様々な症状の集合体だ、と考えています。

 風邪は単独では体に悪さすることはできず、他の四邪(熱(暑)・湿・燥・寒)たちと徒党を組むことで体内に侵襲します。

 逆に他の四邪は、風邪がいなくては体に入ることが難しいので、持ちつ持たれつの関係です。

 風邪は体内に入ると、その遊走性(動き回る性質)からいろいろなところにちょっかいを出して、私達を困らせます。

 これがカゼのときに、喉カゼや咳カゼ、冷え、頭痛などなど、人によって症状が違う理由にもなります。

 さて、ここまでをまとめると、

 花粉も風に乗って運ばれてきますし、風は五季(春・夏・長夏・秋・冬)で春を指しますから、春の発陳*の効果で肩から上の症状がでやすくなります。

 春風に運ばれてきた花粉(春の気)が寒邪などと一緒に体内に入り、発陳に乗って頭部で遊走性を発揮する=目や鼻、喉に悪さをするのが花粉症

ということになるのです。

 いわゆるカゼに似た症状ですから、昔の人も「毎年春になると風邪にやられることが多くて」、なんて言っていたかもしれませんね。

*発陳(はっちん):上へ横へ勢いよくエネルギーが流れる様。詳しくはこちらのブログをどうぞ

花粉症を軽減する方法3選

 さてそれでは、普段からできる花粉症を軽減する方法を3つ、お教えします。

 とはいえ、これをやっても今年の花粉症を解決できるわけではありません

 これらをやることで体質改善を行い、体内の花粉を減らして行くことで、今年より来年、来年より再来年、楽になっていくようなイメージです。

 時間はかかっても、楽になりたい方はやってみてくださいね。

花粉症解消方法3選
① 白湯を一年中飲む
② 糖質を控えて、適度に運動をする
③ 毎日7~8時間の睡眠時間を確保

 当たり前のことに見えるかもしれませんが、長期的に見ればコレらが最も効果的で、それぞれの簡単に、その有用性を述べていきます。

解消法解説
①白湯を飲むことで内蔵=肝臓と腎臓による解毒・排泄が進む=花粉排泄量アップ
②糖質を控えると余計な熱が減る=鼻水や咳が減る
 適度な運動によって頭に上った血が下り、血流が良くなる=花粉排泄量アップ
③正しい睡眠時間を確保する=免疫がしっかり働く=体温上昇+花粉排泄量アップ

 そのためにも、白湯の量は最低でも1Lは飲むようにしましょう。飲酒習慣がある方は、1.5L以上必要です。

 個人差があるので、もっと必要な人も、逆に少ないほうがいい人もいますから、翌日にむくまない程度に調整してください。

 運動は早歩きなどの中程度なら毎週2~3時間、ハードな運動(心拍数100以上)なら毎週1時間~1時間半程度で十分です

 この運動量は、WHOが健康維持のために勧めている運動量です。

 週末にまとめてやってもいいので、定期的に運動を行うことをオススメします。

 これらを続けることで、体内の花粉コップの底に穴を空け、蓄積された花粉を徐々に体外へ排出するしか、自分で症状を軽くしていく方法はありません。

 何度も書きますが、薬は症状を一時的に軽くしたり、止めているだけですので、ますます体内に花粉を溜め込む要素になります。

花粉症に有効なツボ

 さて最後に、東洋医学をベースにしている鍼灸師らしく、花粉症に有効とされるツボをご紹介します。

花粉症対策の顔のツボを解説

 印堂と迎香は鼻の通りを良くしてくれます。

 晴明は涙を適度に増やしてくれ、目の疲れをとってくれるツボですから、花粉症以外の時期でも使うといいでしょう。

 どのツボも、自分が気持ちいいと思える角度と強さがありますので、適度な感じに15秒×3回程度やってみてください。

 印堂と迎香は、お灸も有効です。煙のでないタイプのお灸なら煙くないので、火傷に気をつけてやってみるのもいいでしょう。

 圧迫やお灸をやってから少しすると、効果を感じます。

 また、これらのツボの効果を上げるために、手の甲にある合谷を使うといいですよ。

合谷位置解説

合谷:免疫力を高め、全身の症状に影響を与えると言われています。親指と示指の付け根にあたる部分です。

 あくまでも対症療法のツボではありますが、少しでも楽に過ごせるよう試してみて、効果があったら教えてくださいね!

まとめ

 いかがでしたでしょうか。

 まとめてみると、花粉症は1980年代までは発症率が5%程度の珍しい病で、シルバー世代の幼少期までは珍しい病気であり、毎年ひく春のカゼ程度の認識でした。

 そこから国民病になったのですが、花粉症の原因は大気汚染であり、一度発症すると完治は難しい病気だということになります。

 体内花粉の排出に役に立つし、一時的に症状を軽くすることも可能なので、鍼灸は花粉症対策として有効である、というのがこのブログのまとめです。

 症状が楽になるツボも紹介しましたので、実際にやってみるのもいいですね!

 もし、花粉症がひどいけど、薬は眠くなるから嫌で困っているという状態なら、まずは一度、楽陽堂鍼灸院に相談してみませんか?

 しっかりとお話をお伺いし、あなたの花粉症を軽減させつつ、根本から改善していく方法を一緒に考えさせてください。

 治療を始めるなら、早く始めたほうが早く良くなりますので、迷ってないですぐにご予約を。

 初回カウンセリングを受け、治療方針が合わない場合や、施術効果に納得行かない時は、代金はいただきません。

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