人は変われる

自律神経

 離婚直前になって初めて湧いた”自我”。
 ”自己嫌悪”していたのは、”これまでの自分”。本当の自分じゃない自分、だったのです。

 こんにちわ。おなじみ、東京亀有楽陽堂鍼灸院。そこで美容と健康部門のセラピストをしています、紫檀(したん)です。(私のプロフィールはこちら
 私の経験談を話すことで、みなさんの役に立てば、というお話、7話目です。

 第1話
 第2話
 第3話
 第4話
 第5話
 第6話

自分の気持ちを持つのは大変

 夫の話を一つ一つハイハイと聞くのではなく、自分の意志でYES・NOの選択をして感じたことは

 「いちいち考えて判断するのって、めんどくさい」

でした(笑)。
 同時に、子どもの頃からそれまで、考えないことがクセになっていたんだな、と気づきました。

 ラクなんですよね。自分で決めず、人に任せて用意してもらった物事をやるだけ、というのは。

 私の場合は、子どもの頃から過干渉の母が、全てにおいて母自身が納得いくものばかり用意していましたから。

 裏返すとそれは、私自身が考えるという作業をしない、ということになります。
 
 手間が省けると言ってしまえばそうなのですが、子どもの頃からその習慣になってしまうと、自分の気持ちや価値観を作る、考える、ということをしないのが普通になってしまいます。

 それはやがて、自分の気持ちがわからない、気づかない、人に流される、という心のクセになってしまいます。

 子どもの頃から自分で考える、選ぶ、決める、ということを日常的にやる大切さを実感したできごとでした。

夫婦関係の変化

 夫はというと、これまで”NO”と言わないことがほとんどなかった私が”NO”と言い始めたものだから、始めのうちは怒ったり、夫自身に都合がいいように説得しようとしたり、戸惑ったりしていたようです。
 しかし、そうしているうちに、不思議なことが起こりました。

 夫の中でもなにか変化があったのか、私とやり直すことを考えるようになっていました。
 同時に、夫自身の価値観や生き方が少しずつ変わってきたのです。

 私もまた、自分自身が変わっていくのを感じていました。そのため、変わっていくであろう私を受け入れられるなら、という条件で離婚は保留することにしました。
 あくまで保留。

 私は恐らく、夫と結婚した時の私とは違った人になるから、それでも夫は結婚生活を続けたいと思うだろうか?
 そんな風に考えていたのですが、私が自分を変えようとし始めたのとほぼ同じく、夫も変わり始めるなんて想像もしていませんでした。

 そうして数か月のうちに、以前のように荒れることはどんどん減っていき、徐々にこれまでの関係にないような穏やかな関係になっていったのです。

 この頃は、この状態を言語化できませんでしたが、今考えると、”それまでの私では、幸せな人間関係を築けない”ということだったんだと、思っています。

 このことで知ったのは、人間は、いくつになっても変われる、ということです。

 二人とも、もう40代にもなってからのできごとです。

 よく、三つ子の魂百まで、とか、自分の性格や人生なんて変えられない、と言われますし、私自身、そう思っていましたが。
 私も、夫も、まるで別人のように変わっていき、今でも変化し続けしています。

手放して得るもの

 二人の関係や、何より自分自身が変化していく中で、私が一番考えていたことは「自分を変えたい」
ということでした。
 私が最初に変えたかったのは、自分自身の嫌な面、でした。

・人が怖いこと
・過去の嫌なことを思い出して苦しくなってしまうこと
・自信がないこと

 様々な本を読んだり、カウンセリングを受けてみたりもしました。

 その中で、一つ、私が考え方を大きく変えられたことがありました。

 それは「ごみ捨てワーク」。

 これは私が勝手につけた名前です。
 どこで知った知識か忘れてしまいましたが、イヤなことや、忘れたいことを手放すときに使えるワークです。
 みなさんも、何か手放したい思いがあったら、是非実際にやってみてください。

①まず、捨ててもいい紙に、忘れたいこと、イヤなことを一つ書きだします。
 そのことをじっくりと思い出しながら、その時の気持ちも一緒に書き出してもいいと思います。
 きれいな文章にする必要はありません。単語を並べるだけでも大丈夫。
 大切なのは、そのできごとを体験した時と同じ気持ちになることです。
②①を、手に持って、ぐしゃぐしゃっ!と丸めます。
③①を手放した時に、一緒にそれも忘れてしまうんだ、と心の中で決めます。
 約束、ではないので、もし守れずに、また同じ気持ちが湧いてしまっても大丈夫です。
 その時は、またこのワークをやればいいだけです。
③①を、ごみ箱にポイッしちゃいましょう。

以上。簡単ですね。

 しかし、これを初めてやった時、まずは紙に書き出すのが、私にはちょっと難しいことでした。

 まず、言葉にする、ということに強く苦しさを感じました。

 最初に私が書いたのは、「自分のことが嫌い」でした。
 本当はもっと具体的な方がいいのですが、この頃はまだ物事を分解して具体的に考えられなかったんですね。
 でも、それでも、たったそれだけを言葉にするのに苦労しました。

 自分の中で「また味わう」という行為だったからです。それに、感情を思い出して、モヤモヤした気持ち、つまり言葉にならないなんだか重苦しいものを言語化する、というのも難しいことでした。

 でも、何とか言葉をひねり出して書き出した次に、ぐしゃぐしゃっとするのは、その嫌な思いを否定するようで心地よいものでした。

 ですが、さらに次のステップである、ポイッと…することに、不思議と抵抗感があるんですね。

 捨ててしまえば、なくなってしまえば楽なはずなのに。

 手を開けば、紙はごみ箱に直行します。そうしたら、イヤな思いは離れていくはずなのに。
 その手を開くことに抵抗感がありました。
 
 なんでだろう?

 すごく、不思議に思いました。少しして、
 「私がこの気持ちを放したくないと思っているから、この気持ちがいつまでもあるんだ」
 ということに気づきました。

 そこて、改めて自分に問いかけてみます。

 「この気持ちは、取っておく?それとも捨てる?」

 もちろん、イヤな思いは手放して軽くなりたいですよね。
 「すてるぞ!」
 と決意して、その紙をポイッとごみ箱に捨てたのです。

 そのあと、しばらくの間はなんだか胸がスース―するような、心が軽い感じがしました。
 おそらく、今まで胸の中で、その思いが占めていた部分に、スペースができたからです。
 不思議な感覚であると共に、「気分がいい」と感じました。
 
 そういえば、「気分がいい感覚」でいたことなんて、あまりなかったなぁ、なんて思いながら、その気持ちを味わいました。

 それからしばらくの間、イヤな思いが湧いた時には、このワークを繰り返しました。
 時には同じようなこと繰り返し書いて、「ああ、この前もこれ、書いたなぁ」と思いながら捨てることもありましたが、段々言語化がうまくなってくる、という面白い体験もしました。
 イヤな思いが湧いてもポイすれば心が軽くなる、と思うようになって、イヤな思いが湧くこと自体がそれほど苦痛に感じなくなっていきました。

 また、イヤな思いを何度も何度も繰り返し思い出してしまって捉われる、というようなことがなくなっていき、どんどん心が軽くなっていったのです。

 気持ちが変わると同時に変わっていったのは、体調も、でした。

 それまで常にだるさ、頭痛、肩こり、”体調が悪い”としか言いようがない体全体の不快感。それが、少しずつ減っていきました。

 何故なのか、次回お話ししたいと思います。

第8話:”病は気から”の本当の意味


ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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