水分不足が腰痛になる?本気で言ってる?
そんな声が聞こえてきそうですが、本気で言ってます。
ご覧いただきありがとうございます。
葛飾区は亀有駅南口徒歩5分にある、楽陽堂鍼灸院の院長山口三紀夫です。
今回は、腰痛と水分不足の関連性について、西洋医学と合わせて、楽陽堂鍼灸院の専門分野である東洋医学の観点からも、お伝えしていきたいと思います。
それでは早速、スタートです!
~おことわり~
体の水分は60~78%と諸説ありますが、ここでは78%を採用します(参照:今週の朝礼『78:22の法則』から学ぼう)
結論:水分不足は東西医学的に腰痛の原因になる
水分不足が腰痛に及ぼす影響について、多くの人が意識していないかもしれません。しかし、実際には、水分不足が腰痛の原因や悪化の要因になることがあるのです。
特に日本人は蛇口をひねればいつでも水を飲める環境であるからこそ、水分摂取に対しての意識が弱いく、水分不足が原因だなんて思いもよらないのです。
西洋医学からみた水分不足が腰痛の原因である根拠
まず、水分不足が腰痛に与える影響について西洋医学の観点から説明します。
人間の体は78%が水でできていますから、水分不足が体に与える影響は良くも悪くも単純にすごく大きいのです。
例えば脳は頭蓋骨の中に貯えられた水の中に浮いてますから、水分不足で頭痛を起こします。(参照:健達ネット:脱水症状に伴う頭痛の治し方とは?)
関節だって関節包などに入っている関節液が少なくなれば、関節運動の熱処理量が少なくなりますから、これも痛みになるのです。もちろん、腰の骨の関節も同じです。
同じように、筋肉も水分が大きくその割合を占めているので、水分不足によって筋肉の動きが悪くなったり、血中の水分が減ればリンパ液も少なくなり、乳酸などの老廃物を流せなくなるので痛みの原因になるのです。
こう考えると、西洋医学的にみて水分不足は筋肉や関節の動きが悪くなることで、摩擦熱や代謝に関連して腰痛を引き起こしているのがわかります。
仕事に集中してると座りっぱなしだから、あまり水分摂ってないんだよなぁ。
腰痛もだけど、老廃物が流しにくくなるってことは、疲労が回復しにくいのも、水分不足が一つにあるのか。
東洋医学からみた水分不足が腰痛の原因である根拠
東洋医学の観点から水分不足が腰痛に与える影響です。
東洋医学で考える腰痛で知っておいて欲しい基礎知識が、
①腰は五臓のなかで腎が支配している
②水を司っている
の2つのことです。
腎が水を司っているということは、体液や関節包の水分もろもろ、体全体の水分バランスの調整もしているということです。
腎は五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中で、最も下に位置していて、人体全てのエネルギー源である精を蓄えています。
精は腎の中では水に形を変え腎の陰であるとされおり、腎の陽気で蒸発して三焦と呼ばれる通路を移動しながら、心臓を冷やしたり、他の臓腑にエネルギーである精を届ける役目を持つことから、精を蓄える腎は言わば人体の要です。
これを漢字で現わすと、体を示す肉月の要=腰になりますから、腎が腰を支配しているのは当然のことなのです。
前述の通り水は腎の陰であり、エネルギー源ですから、不足すれば腰に力が入らなくなる=痛みを出して動かさないようにする、という図式が成り立ちます。
そして、東洋医学の考える水は、その場に留まる場合は『適度な固さ』であることが理想とされており、水分が少なくなると固くなると性質を持つ、とされています。
水分が少なくなると腰を支配する腎が弱るので、東洋医学で考えても水分不足は腰痛の原因になる、といえます。
それでは理由がわかったところで今度は、どんな風に痛みになるのか、詳しく見ていきましょう。
東洋医学で考えると、腰は腎っていう臓が支配していて、水をたくさん必要としているのね。
お肌にとっても水分不足は大敵だから、私も意識して仕事中も飲まなきゃね!
西洋医学からみた水分不足による腰痛のメカニズム
体内の水分が不足すると様々な症状が現れますが、西洋医学からみて腰痛について、どんな影響を与えるか簡単に書いていきます。
水分不足が腰痛に与える影響
①関節液が減少する
腰痛の多くは、腰椎の関節や椎間板に起因するものです。このような部位では、関節液が緩衝材として働き、負荷を分散しています。しかし、水分不足によって関節液が減少すると、負荷が一箇所に集中し、腰痛が生じる可能性があります。
②筋肉疲労が生じる
水分不足によって、筋肉に必要な水分が不足すると、筋肉の疲労が生じやすくなります。腰痛については、腰周りの筋肉が緊張しやすくなり、腰痛を悪化させる可能性があります。
③筋肉の柔軟性が低下する
水分不足によって、筋肉に必要な水分が不足すると、筋肉の柔軟性が低下し、筋肉の伸縮性が悪化します。これによって、腰痛を引き起こす筋肉の緊張が強まり、腰痛を悪化させる可能性があります。
④神経の伝達が悪化する
水分不足によって、神経の伝達が悪化することがあります。腰痛については、神経が圧迫されることが原因で起こることがあります。
水分不足によって、神経が伝達しにくくなると、腰痛が悪化する可能性があります。
以上のように、水分不足が腰痛に与える影響は大きく、日常生活で適切な水分補給を心がけることが重要です。
水分が不足することは、他にも全身に栄養が行きわたらないことも意味しますので、慢性的に水分不足が続くと栄養不足になります。
ですので、ここで水分とは切り離すことのできない、栄養不足の観点からもその影響を書いていきます。
栄養不足が腰痛に与える影響
栄養不足によって、体の機能が低下することで、腰痛にどんな影響があるのでしょうか。
栄養不足が腰痛に与える影響について、具体的な項目を挙げて説明していきます。
①骨密度が低下する
栄養不足によって、骨密度が低下すると、腰椎や仙骨などの骨が弱くなり、骨折しやすくなります。腰椎や仙骨の骨折は、腰痛の原因となることがあります。
②筋肉の量や質が低下する
栄養不足によって、筋肉の量や質が低下すると、腰周りの筋肉が弱くなり、腰痛を引き起こすことがあります。また、筋肉が質的に低下すると、筋肉疲労が生じやすくなり、腰痛を悪化させる可能性があります。
③炎症が生じやすくなる
栄養不足によって、体内の炎症を抑制する栄養素が不足すると、炎症が生じやすくなります。腰痛については、椎間板や関節などが炎症を起こすことがあり、腰痛を引き起こす原因となることがあります。
④神経の機能が低下する
栄養不足によって、神経の機能が低下すると、腰痛を引き起こすことがあります。神経は、腰椎や仙骨などの部位に集中しており、神経の機能が低下すると、腰痛が生じる可能性があります。
以上のように、栄養不足が腰痛に与える影響も大きく、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。
水分が不足することで内臓の動きも悪くなり、バランスよく食べてもそれがうまく栄養として取り入れられないことや、せっかく取り入れても体の隅々まで運ばれなくなりますから、水分と栄養は適度にしっかりと摂るのがよさそうです。
我が家で心掛けているのは、一週間で30種類の食材を食べることです。
毎日30種類を摂ろうとしたこともありましたが、ストレスが大きすぎて止めてしまいました。
東洋医学からみた水分不足による腰痛のメカニズム
さて今度は東洋医学でそのメカニズムを解説していきます。
原因のところでお話した通り、腰は腎の支配を受けていて、腎は水を司っています。つまり、腰には適度な固さを持った水分が必要なのです。
水分不足は腎を弱らせる
ここで水の性質を考えることで、腎の弱りが腰痛にどうつながるか考えてみます。
水は固まると氷になりますし、温まりすぎると形の固定していない湯気になります。
水が水として存在するには、適度な柔軟性のある固さが必要、ということです。
水の動きが悪くなるほどに固まる=大量に水分を含む筋肉が固まりますから、腰の気と血の流れを悪くするので不通即痛*=腰痛になるわけです。
*不通即痛:ふつうそくつう:流れが悪くなると痛む、という東洋医学の痛みのメカニズムの一つ。
腎の陰陽バランスの乱れが乱れると、人体の要である腰が弱くなるのは、東洋医学では当然の道理なんですね!
その中でも腎は陰陽の根本と言われ、陰陽のバランスや健康維持の最重要な臓であると考えられています。
腎の陰である水が不足することによって陰のエネルギーが不足すると、陰陽のバランスが崩れることがあります。このバランスの乱れは、腰痛を引き起こす原因となるのです。
陰陽はアクセルとブレーキであり、これは自律神経のような関係ですから、陰が減って相対的に陽が増えることで、いつまでの続く慢性的な腰痛になっていきます。
これを東洋医学では虚熱による痛み症状と言います。
念のため、ぎっくり腰などの急性症状との違いを書いておきます。
ギックリ腰などの急性症状は、多忙や睡眠不足などで陰が減った時に、急激な荷重がかかったり、筋肉が限界を超えると陽が増えすぎて強い痛みになるものですので、メカニズムが明確に違います。
東洋医学ではこちらの急性で痛みが大きな熱症状を、実熱と言います。
虚熱と実熱を数字で表すと、100を標準として陰90:陽100の状態が虚熱、陰95:陽120の状態が実熱、ということになります。
こんな風にして、医学の東西を問わず水分不足は明らかに腰痛の原因になります。
西洋医学でも東洋医学でも、水分不足になるとありとあらゆる不調になるのね。
水分が少ないと栄養も全身に行き渡らないって、言われてみれば本当にそうね。
PC仕事が続くと頭痛が出るのは、なにも画面の見過ぎだけじゃなかったのか…。
水分不足で頭痛が起こるなんて思ってみなかったよ。
ちょっとしたことで防げることだし、意識的に水分を摂るようにするわ。
でも、毎日2リットルはツライかも…。
食事の時のスープとかも入れていいみたいだし、そんなにツラくないんじゃないかな?
ポットに入れておけば、何本空けたかでどのくらい飲んだかわかるって、先生が言ってたよ。
そっか!それならまずは、お湯をいれるポットを買いに行くことが大切ね。
お気に入りの柄や色の物を買えば、白湯を飲むのも楽しくなるわ。
普段から白湯や水分を摂りやすくするために
院長の妻、紫檀も白湯を飲むのが苦手で、なかなか毎日2L飲めませんでした。
そこで私がオススメしたことがいくつかあります。
ポイントがいくつかあるのですが、それをご紹介しますね。
①カフェインが入っていない飲み物
②冷たくないもの
③糖質・化学物質の入っていないもの
④いつでも手元にあること
この4つのポイントを考えて、すべてを満たすもの…。
そう、いつでもどこでも温かい水分を摂れる便利グッズが『水筒』です!
例えば、こんなのはいかがでしょうか。
ステンレスケータイボトル ワンタッチ 350ml アッシュピンク SB-O350(1個)
これは350mlの水筒ですが、個人的にはこれくらいの大きさが重量やかさばり感を考えると、ちょうどよいと思います。
ちなみに、紫檀と二人で出かける時は、たいてい私のバッグに500mlの水筒が忍ばせてあります。
白湯が苦手な方もいるかと思いますが、同じく苦手な紫檀の場合は、ノンカフェイン飲料であるほうじ茶を入れています。
最近では職場にウォーターサーバーが置いてあるところも多くなってきているので、白湯は比較的簡単に補給できますし、煙草を吸わない方でも作業の合間に体を動かしに行く口実にもなります。
煙草を吸う方は、一服がてら水筒に入れておくといいでしょう。
水筒を利用するもう一つの利点が、何本飲んだかで摂取量がわかることです。
私も実際に使っていますが、午前に2本、午後に2本飲むようにしています。
これに昼ご飯や夕飯には味噌汁やスープ、運動後にプロテインを飲んでいるので、1.5~2Lはほぼ毎日飲むようになっています。
ちなみに、アルコールを飲むときは、飲んだ分と同じくらいの水を飲みましょう。
アルコールは加水分解といって、肝臓で分解するときに多くの水を必要とします。
これはアルコールが混ざったものでは効果がないので、アルコール飲料とは別に飲む必要があります。
実際例
それでは実際に、水分不足が原因で起こっていた腰痛の実際例を挙げ、楽陽堂鍼灸院の治療法である、東洋医学的な観点からどのように治療を行い、実際に改善したのかを書いていきます。
A様もB様も、病院などに行っても良くならず困って来院されました。
例1:A様(37歳、男性)
状態確認
3年前から慢性的な腰痛に悩まされている。最近は頭痛もでる。
それまでも腰の張りは感じていたが、痛みとして認識したのは35歳になる直前くらいからで、痛みを感じない日もあるが、多少の差はあれほとんどの日に感じる。
増悪因子
夏、冬、ストレス
軽快因子
入浴、運動
環境
34歳の前半に主任から係長に就任。そのあたりから部下の管理や自分の仕事量が増え、外回りが減った。そのころにちょうどコロナになり自宅での仕事が増えたことで、家から出ない生活になった。
一人暮らし。
病院に行ったが、骨の変形や炎症は見られず、ストレス性腰痛との診断で、特に処置はなし。
カウンセリングによる原因の解明
昇格直後からコロナの影響で自宅勤務になったこと、部下や仕事量の増加に伴うストレスで血流の悪化が見られた。また、夏や冬に痛みが増すが、入浴でよくなることから夏はなぜ痛くなるのかを深く聞いてみた。
その結果、暑がりの傾向(のぼせ)があり、冷房を22℃設定にしていることと、足が冷えていることが分かった。
一人暮らしなことと、在宅勤務になったことで部屋にいることが多くなり、エアコンの影響で汗をかかないために、体が冷えた。無感蒸発による体内水分の減少、缶コーヒーを日に5本以上飲む、飲酒もほぼ毎日、などから、水分不足が顕著になった。
治療方法
腎虚の治療を行った。
養生法
①自宅でコーヒーを控えて白湯を午前に1L、午後に1L飲む
②仕事の合間に軽い運動やストレッチをする
③お風呂には10分程度は浸かる
④朝日にあたる
結果と考察
週一回の通院から始め、5回目には腰痛がほぼなくなった。
主任時代からあったストレスによる血流の悪化が、昇格によって悪化したことと、自宅勤務による運動不足、コーヒーとお酒の多飲、飲水不足によって、体が冷えたことと腎の陰が足りなくなったことによる虚熱が腰痛の原因と判断。
水分不足による腎の陰が不足し、ストレスでより陰の不足が進んだことで虚熱による慢性的な腰痛を発症。
鍼灸で気と血の流れを改善し、腰で固まってしまった水分をほぐすことと、水分不足を補うために白湯の補給を勧めたことで、腎の陰陽の両方が補われて動きやすくなり、症状が改善した。
例2:B様(64歳、女性)
状態確認
53歳で閉経後から、徐々に腰の違和感を感じるようになり、60歳を超えて痛みになった。徐々に強くなってきたので病院に行くと、坐骨神経痛の診断を受けてシップと痛み止めでごまかしている。
増悪因子
冬、雨、食後、朝
軽快因子
入浴、腰を温めると調子がよい
環境
59歳で夫と死別。それから一人暮らし。子供からは同居を薦められているが、義娘に気を遣うくらいなら一人が良いと思う気持ちの方が強い。甘いものを間食に食べる。痛みが出てからはなるべく動かないようにしている。
カウンセリングによる原因の解明
加齢と閉経に伴う腎の弱りと血流状態の変化が主原因。夫との死別で心の支えとこれからの暮らしの心配事が増えたことが追い打ちをかけていた。独り暮らしになったことで、食事に対する興味も薄くなったことで、食事の際に味噌汁を作ったり、普段からお茶を入れたりすることも少なくなっている。甘味は好きだが、お茶はいらない。水や白湯は飲むのが苦手。
治療方法
腎の陰陽両虚と肝の虚による血流の改善を見込み、腎と肝の虚を補う施術を行った
養生法
①1㎞程度であればゆっくりでも動けるため、毎朝散歩やラジオ体操などを外に出ること
②カフェインレスの麦茶やほうじ茶などを、小まめにたくさんの回数摂ること
③糖質による腎の弱りを防ぐことを説明し、朝のパン食と、間食の甘味は週二回までに制限
④毎日の足湯+入浴を行ってもらう
⑤シップはより腰を冷やし悪化するので、痛みが弱い時は貼らないよう指導
結果と考察
週一回で4回、10日に一回で4回、二週に一回で5回、約半年で痛みの9割消失。2㎞以上の通常歩行が可能になった。
加齢に加え、夫との死別で気落ちしたことが悪化の原因を生んだ。ストレスから甘味の摂取量が増えたことと水分摂取量の低下により、腰の力を衰えさせたことで坐骨神経痛を発症したものと診断。
温かいお茶などで体を温めつつ、運動習慣などにより血流を改善させること、鍼灸で腎と肝の虚を補ったことが、治癒へと体を向かわせた。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は腰痛が水分不足や栄養不足が腰痛に与える影響について解説しました。
水分不足や栄養不足については、日常生活での意識が大切です。
水分補給をこまめに行い、バランスの良い食生活を心がけることで、健康な体を維持することができます。
水分については、食事の時のスープなどを含めて毎日2Lをめどに、食事はできるだけ糖質を減らして、一週間で多くの種類の食材を食べることをオススメします。
また、足の冷えは血流の関係上、腰を冷やして腰痛の原因になりますので、しっかりと温めましょう。
他の記事で紹介していますが、対策をしっかりしていても腰痛がどんどん強くなってきているなら、重病の可能性を否定できません。
ブログ:その腰痛、放っておいて本当に大丈夫?見えない大病の前触れかも…
病院で検査をすることも、安心感によって腰痛を和らげる要因になりますので、心配なら早めの受診をしましょう。
もし、病院で検査を受けても問題なし、整体を受けても良くならないなら、諦めないで楽陽堂鍼灸院にご予約ください。
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