秋や冬になると、「風邪の予防に乾布摩擦がいいよ!」って、よく聞きますよね。
でも、なんでいいのかがわからないと、わざわざ寒い思いをしながら乾布摩擦をする気にはなりません。もちろん、私も(苦笑)
ということで、秋も深まり冬も近づいてきた今回(2022.11月中旬執筆)は、乾布摩擦について西洋医学・東洋医学の両側面から解説します。
解説する人は私、葛飾区にあるJR亀有駅南口徒歩5分、【東洋医学専門】楽陽堂鍼灸院の院長をやってます、鍼灸師の山口です。
あなたの知らない東西医学的な側面から、できるだけ簡単・楽しく解説していきますので、最後までお付き合いください。
ではさっそく、行ってみましょう~。
結論:乾布摩擦は風邪予防に有効である
結論から言えば、西洋医学でみても東洋医学で見ても、乾布摩擦は非常に理に適った、風邪予防策であると言えます。
西洋医学の側面から有効である根拠は、3つです。
- 皮膚が刺激される=血流が良くなる
- 毛細血管が増える=表面体温がアップ
- 毛穴を開閉する力がアップ=体温を逃がさない
乾布摩擦自体が運動にもなりますから、血流がよくなる=体温が上がる=免疫の力が上がる=風邪をひきにくいとなります。
また、表面刺激があることで毛細血管が細部まで伸びてくるので、体表温度が上がる=寒さに強くなる、という効果があります。
体表に刺激があることで、表面刺激によって毛穴の開閉する立毛筋の筋力が上がり、必要に応じて体温を逃がしにくくなります。
これらの理由から、西洋医学で考えると、乾布摩擦は有効な風邪予防策と言えます。
では東洋医学の側面から見ていきますが、こちらもやはり、理に適った風邪予防策です。
東洋医学の側面から有効である根拠も、3つ挙げます。
- 運動によって気血の巡りが良くなる
- 体表を守る気【衛気(えき・えいき)】が活発になる
- 肺が強くなる
1つ目については、西洋医学の側面をまとめたような感じです。乾布摩擦自体の運動や摩擦による熱エネルギーの影響を体表で受ける、ということですね。
2つ目は衛気が活発化されるので、外邪から身を守ってくれる力が強くなる、というものです。こちらについては、もう少し詳しく後述します。
3つ目の肺が強くなる、については2つ目の衛気とも関連しますが、肺が陽気を司っているからです。こちらも後述します。
これらの理由から、西洋・東洋の両医学的に考えて、乾布摩擦は風邪予防策として有効である、と言えます。
これから、もうちょっと詳しく解説していきますので、興味のある方は読み進めてください。
理由を知っておくと、効果が上がること間違いなし!です。
ただし、ここでちょっと注意点が2つあります。
- 寒さに弱い方はいきなり外でやらずに、玄関などの風に直接当たらないけど室内よりは涼しいところから慣らしていってくださいね!
- 免疫の強化や体表への血管の伸長、立毛筋の筋力アップなどは、一回の乾布摩擦では得られません。やり続けることでその効果を得られます。
早く効果を得たい方は、楽陽堂鍼灸院で気や血の力のベースアップを行うことをオススメします。
東洋医学でも、西洋医学でも風邪予防に乾布摩擦が効果的なのね!小さなうちからもできる健康法だし、うちの子にもどんどんやってみようっと。
西洋・東洋共通:血流が良くなる=予防策
ではまずは、西洋・東洋共通の有効性を示す、血流の視点から解説していきます。
乾布摩擦は乾いたタオルなどで体表を刺激する、昔からある健康法であり、風邪などの予防策として知られています。
40代以上の方は、学校の授業でやったことがある人も多いのではないでしょうか?
1974年生まれの私も小学生低学年の時に、体育館でみんなでやった記憶があります。
乾布摩擦は運動である
乾布摩擦は前述の通り、タオルなどで軽く皮膚をこする行為です。
昔からのイメージとしては、おじいちゃんが手ぬぐいでゴシゴシやっているイメージが強いようですが、決してゴシゴシしてはいけません。
ゴシゴシやると皮膚を傷めて、余計に風邪をひきやすくなってしまいます。
軽くとはいえ、四肢を動かす行為ですから、全身やれば意外とよい運動になります。
運動は血流がよくなる行為ですから、当然、体温があがります。
そして、人間のすごいところの一つですが、毛細血管と抹消神経は刺激がある部位に伸びていきます。
こうなってくると、表面に近いところに温かい血が行き渡りますから、体が温まりやすくなるのは当然です。
そして、抹消神経が隅々まで行きわたるので、外からの乾燥や冷えというストレスに対して、敏感に反応することができるようになります。
ということは、体内の水分や体温を外に逃がさないよう、毛穴を閉める行為が行われやすくなるのです。
乾布摩擦は乾燥肌や冷え性など、健康面だけでなく美容面に悩む方にも有効なんですね!
冒頭でお伝えした通り、刺激があっても一回だけで毛細血管や末梢神経が伸びてくるわけではありません。
筋トレを一日やってもマッチョにならないのと一緒で、やり続けることで血管や神経も伸長してきますから、少しの時間でも毎日やりましょうね。
冷え性で肌が乾燥しやすい私にもいいなんて、ステキ❤
「おじいちゃんのやること」ってイメージだったけど、美容にもいいなら、やってみる価値はあるわ!
体表を守る気=衛気が活発化する
ここから2つは楽陽堂鍼灸院の真骨頂、東洋医学の側面からの解説になります。
東洋医学では、体表は衛気(えき・えいき)に守られている、という概念があります。
例えば、ドラゴ〇ボールの孫悟空が、スー〇ーサイヤ人になると、黄色いオーラがでて、防御力が大幅に増しますよね。
あれは溢れ出る気の力であのようになっており、あの外側でゴゴゴゴゴゴゴってなっているのが、衛気です。
気は流れであり活動エネルギーですから、かめはめ波に代表されるように、攻撃にも転用できます。
衛気の主な役目は
- 体表の守り
- 毛穴の開閉を行う
- 血を末端まで運び、再び心臓に戻す循環器系の補助
を行っています。
補足しておくと、気は経絡と呼ばれる気の通り道を使っていて、全身をくまなく細部まで巡っています。
血は心臓の拍動の力で心臓からでますが、自分の力で動くことはできませんから、心臓の拍出力+気の力を借りて全身を巡る、というのが東洋医学の考え方です。
これをまとめて考えてみると、風邪をひきやすい人は、東洋医学でいうと衛気が弱い人がなりやすいのです。
衛気が弱いということは五邪*と呼ばれる温度や環境からくる外邪、秋ならば乾燥の邪=燥邪や、寒さ=寒邪から身を守る力が弱い、となります。
*五邪=風・熱(暑)・湿・燥・寒のこと。季節と大きく関わりがある。
毛穴の開閉を専門用語で、腠理の開闔(そうりのかいごう)といいまして、熱の放出や汗の量を調整する仕事も衛気が担当しており、衛気が弱まると正常に機能しません。
肌への水分量の調整も行っていることから、衛気が弱くなると毛穴が開けられなくなり乾燥する、ということもあります。
さらに症状が進んで衛気だけでなく、気自体が足りなくなる陽虚(ようきょ)という状態になり、なにもしていなくても汗が止まらない、冷えが強くなるなどの病態を引き起こします。
乾布摩擦には、表面をこすることで熱=陽気を発生させ、巡らせることで腠理の開闔を正常化させるという側面もあります。
こんなことから乾燥肌になる方、冷え性が強い方は、衛気が弱いからなるのだ、と約3千年前から伝えられている通りなんですね。
衛気は日中は体表を流れて体を守っていますが、乾布摩擦は弱った衛気の流れ・力を改善させたり、アップさせたりします。
衛気は気の一種であり、気の性質が動き・熱・変化などであるため、衛気が弱るということは、体表の気の流れが弱っていることになるのです。
マンガやアニメでやたらと出てくるあのオーラの表現は、東洋医学では常識だったのね。
私たちの生活には、意外と東洋医学が入り込んでいるんだわ。
古いからって、除外したりしちゃダメってことね。
肺が強くなる
肺が強くなるってどういうこと?という、当然の疑問の回答をして行こうと思います。
東洋医学では【肺は気を司る】とされていますが、気=熱と考えると面白いことに、肺は対極の存在である水=寒もたくさん必要な臓なのです。
こういう面でも、東洋医学が陰陽理論ですべてを考えているのがおもしろいですね。
よけいに「どういうこと???」と、?が増えてしまう方も多そうなので、解説していきます。
肺は気をたくさん取り込むから熱があるのはわかるけど、なんで水が必要なの?
こういうところが東洋医学って、難しいけどおもしろそうよね。
肺は気を司っている
肺は西洋・東洋共通で呼吸の重要な臓器であることは間違いありません。
確かに東洋医学でも肺は呼吸器系の大元締めですが、呼吸は肺だけでやっているわけではないんです。
腎は納気と呼ばれる力を使って吸気を行い、人体の下へと外気を引き込む役割があります。
臍下丹田に力をいれろ!などど、武道やヨガなどでいいますが、あれはヘソの下まで空気を入れてしっかりと保つことと同義と捉えていいでしょう。
密教などでは下チャクラなどと呼ばれますが、それだけ吸気は重要な力の源でもあります。
さて、肺は呼気がお仕事なので、吐くのがメインとなります。
吐くというのは、大きく気が動くことを意味していますので、その力を使って全身の気を動かすのが、肺の仕事の中でも大きなものです。
また、気は陰である水や血と比べて軽いので、体表を巡るのが性質としてとても合っています。
そして陽は動くというイメージもあり、体表を守る衛気は敵(外邪:がいじゃ)を撃退する機能も持ちますから、悍気(かんき)と呼ばれ、荒々しい気である、とされています。
肺の気は、体表を巡り外邪から体を守りつつ、衛兵でもあるので、門(毛穴)の開閉も行う仕事を持ちます。
内臓器の位置で考えると肺は一番上にある臓なので、他の臓を守りやすい位置ですから、この意味でも防衛の気=衛気なんですね。
もう一つ大切な肺の性質があります。
肺は空気が入ってくるところで、中身が空洞であることで乾燥しやすい性質ですから、それだけに水分も欲しがります。
乾燥と湿気のバランスを取るためでもありますが、もう一つの重要な役割の為にも、水がたくさん必要なのです。
肺の担当が皮膚である理由もこの辺にあるのですが、体表を衛気で守り、全身に気を巡らせる時に、一緒に水分も巡らせているのです。
東洋医学の観点からみれば、気が巡らないことで毛穴を適切に開閉できないことで起こるのが冷え性であり、開きっぱなしなってしまうと汗が勝手に出続ける(自汗)が起こるのです。
こうして考えてみると、肺が気を司っていることがよくわかりますね。
体表を物理的になでてあげることで、体表の気の流れを再び取り戻すと共に、気の流れがでる=熱になることから、体があたたまり、衛気が活性化されることで外邪を寄せ付けなくなります。
東洋医学の視点でも、乾布摩擦は有効な予防手段だと言えます。
本当に東洋医学って、陰陽の関係がどこまでも必要なのね。
お肌の保湿にも適度な水分が必要で、それを肺がやってくれているなんて、まさに東洋医学らしい考え方だわ!
東洋医学で考える、より効果的な乾布摩擦のやり方
乾布摩擦はただ適当に肌をこすればいい、というわけではありません。
もちろん、やらないよりはどんな風であれ、やったほうがいいです。
でも、どうせやるなら効果的にやりたいですよね!
と、いうことで、東洋医学で考える正しい乾布摩擦のやり方をお教えします。
え?乾布摩擦って、適当にこすればいいんじゃないの?
効果的なやり方があるなら、ぜひ知りたいわ!
気の流れを知っておく
東洋医学では気の流れを重視します。
大まかには、陽(太陽に当たる)面は上から下に、陰(太陽が当たりにくい)面は下から上にこするのが、より効果的です。
腕で言えば陰面である手のひら側の面は、下から上にこすり、手背面は上から下にこすります。
足は正面と真後ろの中心で陰陽の面を考えます。
膝のお皿の中心から内側を通って膝の裏側のくぼみの中心までを陰面、その逆側を陽面とします。
手と同様に陰面は下から上に、陽面は上から下にこすりましょう。
続いて体幹です。
体幹はお腹側が陰面で、背中が陽面で背中は上から下でいいのですが、お腹はちょっと一工夫が必要です。
お腹を下から上にこすってしまうと、内臓の弱い方は吐き気を催す人もいます。
お腹はヘソを中心に右回転、右側⇒上⇒左側⇒下⇒右…と、円を描くようにやると、内臓の動きの補助にもなって効果的です。
これは図の経絡人形が示している通り、お腹は陰陽の経絡が入り混じるところなので、回転させることで陰陽両方の経絡の気の流れを促進できる、ということになるからです。
ちょっとしたことですが、これを頭に入れておくだけでも、よりよい効果が得られます。
衛気は体表を流れているので、ゴシゴシやると衛気が傷つき肌も傷つくので、良いことはありません。
表面の気の流れを意識して、そっと流れを促進してあげるイメージで摩擦してあげるのがよいでしょう。
乾布摩擦をする時は、私みたいな可愛い女の子を扱うように、やさしくしてあげてね(^^♪
玉のお肌に傷をつけたら、承知しないわよ!(笑)
まとめ
いかがでしょうか。
乾布摩擦が風邪予防に対してとても有効なだけでなく、冷え性やカサカサ肌のお悩みにも有効なことがお分かりいただけたかと思います。
とはいえ、体は環境やかかった刺激、ストレスに反応して成長していくので、乾布摩擦だけではよくなるまで時間がかかるのも事実です。
また、強い心身を作っていくには、免疫の力や深部体温をあげる=自律神経を整えていくことが必須です。
免疫の力や深部体温を上げるには、
定期的な運動
食事の改善
ストレスの解消
の3つが必須であり、これは気血の巡りを良くしていくことで効果が出やすくなります。
気血の巡りを整える楽陽堂鍼灸院の鍼灸術は、まさに免疫の力や深部体温の上昇、ストレス解消に適している鍼灸です。
乾布摩擦に加えて、楽陽堂鍼灸院の鍼灸を受けると内外からぽかぽかして、免疫の力が高い心身や自律神経の整った状態を手に入れることができます。
一度ぜひ、お試しいただければ、寒さしらずの冬を過ごせることに、期待が持てること間違いなしです。※効果には個人差があります
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