「出産は病気じゃないんだから」
「子供を産んだくらいで大げさな」
「で、俺の飯は?」
たまにこんなことを出産前後の奥様にいう旦那様がいるとかいないとか…。
こんにちは。
葛飾区亀有で、心と体の痛み解消を専門に開業している、楽陽堂鍼灸院の院長山口ミキオです。
今回は、年間2,000人を施術する亀有の鍼灸師が、そんな旦那さまにお伝えした出産の説明をご紹介します。
ちなみに私自身、妻に3人の子供を産んでもらいました。
だからこそ、これから奥様が出産を控えている、あるいは奥様が出産したばかりの旦那様に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
出産って、どれくらい痛いと思いますか?
出産というのは、女性しかできない尊いものです。
命をかけて行うわけで、妻によればその痛みは、
「刃を鈍くしたノコギリで肩関節をギコギコやられてるくらい」
だそうです。
……いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
そんな痛み、想像できますか?
しかも、それを間隔を開けて何度も繰り返し、場合によっては12時間以上ですよ。
その間隔がだんだん短くなってきて、いつまた痛むかという恐怖とも戦うわけです。
そして、やっと赤ちゃんが生まれる。
「おめでとう!無事に生まれてよかったね!」
もちろん、それはそうなんです。
ですが、ここで旦那さまに一つ質問です。
出産って、こんな状態なんですよ!
ちょっと想像してみてください。
長時間、鈍い刃のノコギリで肩関節をギコギコやられたあと、あなたの右腕が肩からボトっと落ちる。
そうです。
その瞬間、右腕が体から離れるんです。
それまでお腹の中にいた赤ちゃんと羊水、そして胎盤が、出産によって母体から離れる。
それほどに大きな出来事が、出産のときに奥様の体で起こっているわけです。
これ、大怪我だと思いませんか?
私なら間違いなく、「しばらくゆっくり寝かせてくれ!」って、病院の中心で愛を叫ぶことでしょう。(ネタが古い…)
でも、まだ続くんです。
大怪我をしたのに、眠らせてもらえない
もちろん出産では出血もしますし、産後もしばらくは悪露(おろ)と呼ばれる出血が続きます。
かなりの出血に加えてさらに、妊娠から出産まで、女性の体は大きく変化しています。
そんな状態でも、ゆっくり眠れないんですよ?
赤ちゃんのお世話のために、しばらくは1〜2時間ごとに起こされて、授乳も行うわけです。
東洋医学には「乳血同源(にゅうけつどうげん)」という言葉があり、母乳と血は同じ源から作られる、という考え方です。
つまり、東洋医学的には、出産で血を失ったうえに、授乳によっても血を消耗していると考えるわけです。
体力を回復しなきゃいけない時期なのに、その回復に必要な血まで、赤ちゃんのために使っている。
もちろん、実際に母乳が血液そのものという意味ではありませんよ。
それでも、出産で疲れ切った体を休ませる間もなく、赤ちゃんのお世話を続けているわけです。
これでもまだ、出産直後の奥様に「俺の飯は?」とか言えますか?
少なくとも私には言えませんでしたし、感謝しかありませんでした。
出産は病気ではありません。でもね……
確かに出産は病気ではありません。
ですが、男性なら確実に気絶すると言われるほどの痛みを経験し、体には大怪我にも匹敵するような負担がかかるものです。
そんな大仕事を終えた奥様に、あなたはどんな言葉をかけますか?
「お疲れさま」
「ありがとう」
「ゆっくり休んでね」
言葉だけなら簡単です。
でも、本当に大切なのは、そのあとに何をするか、じゃないでしょうか?
私自身、妻が3人の子供を産んでくれたことには、今でも感謝しかありません。
もちろん、これは私の価値観ですから、旦那さまがどう思うか、どうするかはご自身で考えることです。
ただ一つ、覚えておいてほしいのは、
出産は病気ではないけれど、だからといって、出産前と同じように動けるわけではない。
ということです。
だから、よく考えて、これから出産される奥様に声をかけてあげてください。
そして、出産を終えた奥様が、安心して体を休められるようにしてあげてください。
少なくとも、私はそう思います。

